学術集会・総会 ご挨拶


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ご挨拶

 第2回日本メディカルイラストレーション学会学術集会・総会を2017年12月3日、川崎医科大学現 代医学教育博物館で開催させていただきます。
 今回のテーマは、つたえる力『医を伝える意義、医が伝わる価値』です。イラストレーションが論文や研 究など学術の分野、手術記録や医療現場、教育分野などにおける先進的な試みや興味深い発表を期待いたし ます。
 昨年、我が国で初めて医学とイラストレーション並びにビジュアル的表現という異質分野のコラボレーショ ンによって、医学医療の可視化をテーマにあらゆる視点から探求し検証する必要から、研究と交流の場を公 開いたしました。
 医学とイラストレーションという二つの分野は、歴史的に見ても不可分な関係であるにも関わらず、これ まで相互に交わることもなく、社会的には受注の関係にとどまり、認識の隔たりがあるなど協力関係が構築 されないまま見過ごされてきました。
 医学医療情報の理解と周知は可視化が最も効果的であり、医療者と表現者の解釈に齟齬を生じることなく、 双方の共通認識と積極的なコミュニケーションこそ必要であると感じた各領域の理解者によって、学術的臨 床的に価値のある図示とは何かを探るべく本学会が組織されました。
 メディカルイラストレーションは医学医療情報の伝達手段として存在します。従ってどんなに素晴らしい アーティスティックな絵であり、緻密でリアルな表現、トレンドな迫力あるCG作品であっても、解剖学的 な誤りや医学的な間違い、或いは誤解を生じたりする絵は全くその価値をなくしてしまいます。
 逆にシンプルなシェーマや簡潔な素描でも医療情報が確実に的確に伝わる絵がメディカルイラストレーショ ンといえます。
 医療従事者は、学生や研修医といった学習と実践の時期に、自分の手で臓器を描画したり、症例報告など のイラストレーションを自ら手描きすることで効果的に覚えることができます。また論文の適切な図示は学 会その他の発表において明らかに効果を発揮することができます。
 臨床の場においても患者との共通理解のための手段、市民への啓発活動といった社会活動にも絵が描ける ことは大きな力となります。
 一方、イラストレーターはイラストが見る側にとってどれだけの影響力があるかを認識しなければなりま せん。
 医系イラストの担当者は、医療者の意図を十分に把握し確かな表現をしなければなりませんが、これまで は理解し把握するまでの医学的知識や臨床的経験を得る機会がなく、既存の資料をもとに描き写すしか方法 はありませんでした。
 本学術集会は、医療者と表現者の信頼関係を担保し、安心して受注や教育を行うことができるための講習 会を開始します。そして受講者には一定の基準をもとに認定授与する認定制度に連結します。講座内容は医 学的知識(基礎及び臨床医学、リハ、看護、栄養、薬学ほか)、医療倫理、知財権・契約等の法律解釈、描 画技法、CG(2D・3D・DTPなど)技法、など、医療従事者と表現者双方に必要な内容です。
 医系の専門領域では、知識と経験のスキルがイラストレーターの職を守り身分を確たるものとします。そ して多様な医学分野に対応できるビジュアル表現は、医師研究者の論文の格調を高め医療の進展に貢献する ことでしょう。
 始まったばかりの学会ですが、医学医療には必要な領域です。まだまだその存在や意義そのものが知られ ておりません。
 本学会は学会活動を通じ国や医学界医療産業界に認知を促しながら、発展目覚ましい先進医療社会の一員 として医療情報可視化の礎の役割を果たして参ります。そして医療者・イラストレーターなど表現者には自 らのスキルを高め職域の安定化を図るためにも、多くの方の参画をお待ち申しあげます。
 また本学会は既存の学会にない発表の方法も模索して参りたいと思っておりますので、イラストレーター の作品はもとより映像やイメージングの発表にも挑戦していただき、より多くの方がメディカルアートに関 心を抱いて医用ビジュアルの学術学際的な領域に参入していただけるよう期待しております。

日本メディカルイラストレーション学会 会長  レオン佐久間